- wacomのモバスタ、iPad pro、XP-PENのartist proを所有
- wacom歴10年のイラストレーター
- HUION/XP-PEN/WACOMの液タブ使用経験あり
XP-PENの16インチ型最新液タブ「innovator 16」のレビューをするぞ~~~!!
というギモンをお持ちの方もいらっしゃるかな~と思いまして、実機をお借りしました。
同じ価格帯&サイズ感である、同社の「artist 15.6 pro」やワコムの人気モデル「cintiq 16」との比較もしつつ
いいところとイマイチなところをガッッッツリとレビューしますので
なんて人は是非おつきあいくださいね。
【いきなり結論】innovator 16は使いもんになったか
なんて人はこの段落だけ読めばオッケーです。
こまか~~いレビューは後ほどするとして、結局どうだったかを先にお伝えすると
- 視差(表面ガラスのうすさ)
- 色域(色の表現力)
- 携帯性
これらがスペック的にも体感的にもcintiqよりinnovator 16の方が上でした。
色域カバー率 | AdobeRGB 88%
NTSC 88% sRGB 125% |
解像度 | フルHD(1920 × 1080) |
レポートレート | MAX ≧ 220RPS |
応答速度 | 16.4ms |
ショートカットキー数 | 8 |
サイズ | 443.27 × 256.45 × 9 mm |
なので結論からいえば、以下のいずれかに当てはまる人はcintiq 16より innovator 16にしたほうが幸せになれます。
- よりアナログ感がほしい
- 印刷をよくする
- 持ち運ぶことが多い
ということでおおむね満足でした。90点。
ここからは上の3点の根拠+気になったところを
「①・本体」「②・ペン」「③・液晶」の3方向からくわしく見ていこうと思います!
【ちょっとだけ寄り道】artist 15.6 proとinnovator 16のちがい
innovator 16のひとつ前のモデル「artist 15.6 pro」
こちらも後で解説しますが、先にざっくりいうとartist 15.6 proと比べてinnovator 16は
- 少し色味がよくなって(sRGB120%→125%)
- 少し反応がよくなって(新型ペンにもなった)
- けっこうコンパクト化した
そんなモデルです。
innovator 16本体について
薄くて軽くて省スペース!
artist 15.6 proの上にinnovator 16を乗せてみました。
wacomのcintiqのサイズは奥行きがartist 15.6 proとほぼ同じで、幅は10cmほど短いです。
innovator 16(左)とartist 15.6 pro(右)
innovator 16の薄さはわずか9mm!
PCから給電できる!
pcとの接続には右側のケーブルを使います(左は延長ケーブル)。
PC側に接続するのは①HDMI、②USB-A(黒)、③USB-A(赤)の3本です。
赤いUSBは給電用で付属のacアダプタ用なのですが、pcに差し込んで給電もできちゃいます。
ちなみに赤いUSBは接続しなくても使えました。(パフォーマンスは少し落ちた気がしますが・・)
なんなら海外仕様のacアダプタ(中国/アメリカ/ヨーロッパ)も付属しているので、海外にだって持ち運びやすいです。
唯一無二のダブルホイール!
innovator 16には8つのショートカットキーの他に↑のようなリングがあるんですが
周りの白の部分と黒の部分はそれぞれ別のホイールになっていて、別々の動作を割り当てられます。
おまけに「ホイールの役割切り替え」も4種ずつ設定できるので、
4種×2ホイール=8種も割り当てられます。
ケーブル差込口が左に
artist 15.6 proは右側、cintiq 16は中央にケーブルの差込口があるのですがinnovator 16は左側です。
ケーブルはそこまで長くない(約1.7m)ので、pc本体が向かって右側にある人は場所によっては要注意です。
ただ、ドライバから左利き仕様にすれば(赤で囲んだところの180度にチェック)
左右逆にして使用することもできます。
VESAマウントがない
モニターアームを取り付ける用のねじ穴がありません。
innovator 16に付属するペンについて
- 筆圧はartist proもinnovatorもcintiqも8192レベル。
- artist 15.6 proと同じくショートカットキーはサイドに2つ
- ペンの沈み込みはない
- 替え芯8本つき
innovator 16のペン(上)とartist 15.6 proのペン(下)。
ワコム、HUION、XP-PENいずれも中級者以降向けペンの筆圧は8192レベル。
3社のうちワコムのペンにだけお尻(鉛筆でいう消しゴムがついているところ)にもショートカットキーがあります。
ちなみにartist proのペンでもinnovator 16は動作します。逆も同じ。
追従性も良好
ご覧のように速いストロークにもしっかりついてきてくれます。
快適なストロークができるかはPCスペックの他、タブレット側の「レポートレート」「応答速度」等で決まります。
innovatorはartist proに比べレポートレートが少し上がっており(200~→220~)、応答速度にいたっては驚異の16.6msを誇ります。
この応答速度は2021年現在あらゆる16インチモデルで一番で、cintiqの上位機種cintiq pro 24に匹敵する、ずば抜けて高いレベルです。
innovator 16の液晶について
ガラスの薄さがすばらしい
ほぼ横から撮ってみた写真。
cintiq 16のガラスはペン先から出ている芯と同じくらいの厚さがあり、
使っているうちに慣れるのですが、innovator 16の方がアナログなのは間違いないです。
一部キャリブレーションがいまいちだが・・・
キャリブレーション=ペン先とカーソル(ポインタ)の位置調整機能
自分の場合、いくら位置の調整をしても右上だけ少しばかりカーソルがずれてしまいましたが正直ささいな問題だと思います。
というのも
- この点はワコムの方が正確だが、cintiqの場合ガラスが厚いので結局ずれて見えてしまうのでどっこいどっこい
- はしっこは普段はメニューで隠れる位置なので、正直描画に支障はない
からですね。
cintiqより鮮やかで色域が広い
色域カバー率(sRGB) | |
cintiq 16 | 96% |
artist 15.6 pro | 120% |
innovator 16 | 125% |
余談ですが、2021年に出たばかりのHUIONのkamvas 16になるとさらに色域は上です。
本体サイドのショートカットはないですが、HUIONペン特有の沈み込みが改善されているようです。
【衝撃】まったく熱くならない
wacomの展示されている液タブに触れたことがある人はご存じかもですが、
一部のものはけっこう熱を持ちます(cintiq pro 16など)。
cintiq 16はぜんぜんマシでぬるい方なのですが、このinnovator 16ときたらいくら使ってもぬるくさえならないのでマジでビビります。
【おまけ】付属品について
スタンドは簡素
artist proと全く同じ外付けの1段階調節スタンドがついてきます。
プラスチッキーで「theオマケ」といった感じですが、下側の支えのほかゴムのすべり止めもついているのでホールド感は〇。
イラスト/アニメ制作ソフトがもらえる
- open canvas
- ArtRage 5(公式サイトでの購入のみ)
- Cartoon Animator 4
artist pro、もしくはinnovatorを購入すると上記の3つのソフトの中からひとつが選べます。
いずれも単体購入すると¥7,000~10,000ほどのソフトなので、
「ペンタブ購入ははじめて」「違うソフトもためしてみたい」という人にはおすすめです。
XP-PENのinnovator 16はcintiq 16よりアリ
数多の液タブを触りまくってきた僕が今からcintiqとinnovatorどちらか選ぶとしたら後者を選びます。
なぜならinnovator 16の方がスペックが高いですし、価格も安いし、デメリットと言ったって
- 人によっては接続端子左側が不便(←延長ケーブル買えば解決)
- 環境によっては変換ケーブルが必要(←買えば解決)
- スタンドが簡易的(←だが使える)
- VESAマウントなし(←16インチにはいらない)
こんな感じでささいなものばかりだからです。
ということで今回は2021年現在イチオシの16インチ型液タブinnovator 16レビューでした。